スクラム開発インプット資料
1. スクラムとは
スクラムは、複雑なプロダクト開発において、チームが効率的に協働するためのアジャイルフレームワークです。
主な特徴
- 反復的・漸進的な開発:短期間のサイクル(スプリント)で開発を進める
- 自己組織化されたチーム:チームメンバーが自ら判断し、課題を解決する
- 透明性:プロセスと進捗を可視化する
- 検査と適応:定期的に振り返り、改善する
2. スクラムの3つの柱
透明性(Transparency)
- プロセス、作業、進捗状況を全員が見えるようにする
- 共通の理解と言語を使用する
検査(Inspection)
- プロダクト、プロセス、進捗を定期的にチェックする
- 問題の早期発見を可能にする
適応(Adaptation)
- 検査結果に基づいて改善を行う
- 変化に柔軟に対応する
3. スクラムの役割(ロール)
プロダクトオーナー(Product Owner)
責任
- プロダクトの価値最大化
- プロダクトバックログの管理
- ステークホルダーとの調整
主な作業
- ユーザーストーリーの作成・優先順位付け
- 受け入れ条件の定義
- スプリントレビューでの成果物承認
スクラムマスター(Scrum Master)
責任
- スクラムプロセスの促進
- チームの障害除去
- 継続的改善の支援
主な作業
- スクラムイベントの促進
- チームコーチング
- 組織レベルでのスクラム導入支援
開発チーム(Development Team)
責任
- プロダクトの実装
- 品質の担保
- スプリントゴールの達成
主な作業
- 設計・実装・テスト
- 技術的な意思決定
- チーム内での知識共有
4. スクラムのイベント
スプリント(Sprint)
- 期間:1~4週間(通常2週間)
- 目的:動作するプロダクトインクリメントを作成
- 特徴:期間中は要件変更を行わない
スプリント計画(Sprint Planning)
- 期間:スプリント1週間あたり2時間
- 参加者:スクラムチーム全員
- 目的:次のスプリントで何を作るか、どのように作るかを決定
デイリースタンドアップ(Daily Scrum)
- 期間:15分
- 参加者:開発チーム(必須)、他は任意
- 目的:進捗共有と障害の早期発見
3つの質問
- 昨日何をしたか?
- 今日何をする予定か?
- 障害はあるか?
スプリントレビュー(Sprint Review)
- 期間:スプリント1週間あたり1時間
- 参加者:スクラムチーム + ステークホルダー
- 目的:作成したプロダクトインクリメントのデモと検査
スプリントレトロスペクティブ(Sprint Retrospective)
- 期間:スプリント1週間あたり45分
- 参加者:スクラムチーム
- 目的:プロセスの改善点を見つけ、次のスプリントで実践
5. スクラムの作成物(アーティファクト)
プロダクトバックログ(Product Backlog)
- プロダクトに必要な機能の優先順位付きリスト
- プロダクトオーナーが管理
- 継続的に更新・改善
スプリントバックログ(Sprint Backlog)
- スプリントで実装予定の項目
- スプリント計画で作成
- 開発チームが管理
プロダクトインクリメント(Product Increment)
- スプリント終了時の動作するプロダクト
- リリース可能な状態
- 「完了の定義」を満たしている
6. 導入のステップ
フェーズ1:準備(1-2週間)
- チーム編成
- 役割の決定と責任の明確化
- 必要なスキルの確認
- 環境整備
- 作業スペースの確保
- ツールの準備(タスク管理、コミュニケーション)
- トレーニング
- スクラムの基本概念の学習
- 各役割の理解
フェーズ2:初期スプリント(2-4週間)
- プロダクトバックログ作成
- 要求の洗い出し
- ユーザーストーリーの作成
- 優先順位付け
- 第1スプリント実行
- スプリント計画の実施
- デイリースタンドアップの開始
- スプリントレビュー・レトロスペクティブ
フェーズ3:定着(継続)
- プロセス改善
- レトロスペクティブでの改善実施
- メトリクスの収集・分析
- スキル向上
- チームメンバーの成長支援
- 技術的プラクティスの導入
7. よくある課題と対策
課題1:要件の頻繁な変更
対策
- プロダクトオーナーとの密な連携
- 変更のインパクト評価
- スプリント中の要件変更制限
課題2:見積もりの精度
対策
- 相対見積もり(ストーリーポイント)の活用
- 過去のデータに基づく改善
- チーム全体での見積もり参加
課題3:コミュニケーション不足
対策
- デイリースタンドアップの徹底
- 定期的な1on1
- 情報共有ツールの活用
8. 成功のポイント
組織レベル
- 経営層のサポート
- 他部署との連携
- 継続的な改善文化
チームレベル
- 信頼関係の構築
- 自己組織化の促進
- 知識共有の活発化
個人レベル
- 主体性の発揮
- 継続的な学習
- フィードバックの受け入れ
9. 次のステップ
- チーム編成の確認
- 各役割の担当者決定
- 責任範囲の明確化
- 最初のスプリント計画
- スプリント期間の決定
- プロダクトバックログの初期作成
- ツール・環境の準備
- タスク管理ツールの選定
- 作業環境の整備
- キックオフ
- チーム全体での目標共有
- 最初のスプリント開始
この資料を基に、チームの状況に応じてカスタマイズしてご活用ください。スクラム導入の成功をお祈りしています。
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